心と体の若さを保つためのメンタルケアの秘訣

東洋医学では、髪は生命力が宿るものであり、今の自分の健康状態を映し出すバロメーターとして捉えられています。実際、髪は頭皮の毛細血管から毛乳頭に栄養が供給されることで成長します。この「血余」という考え方は、髪の成長メカニズムを的確に捉えています。
髪が生まれてくる頭皮に注目し、頭皮の毛細血管の流れを良くして栄養をしっかりと髪に届けることが重要です。しかし、頭皮を鍛えるだけでは不十分で、全身の循環を良くし、代謝を上げることも必要です。
美しい髪の特徴を確認しましょう。まず、頭皮には柔らかな弾力があります。地肌の色は青みがかった白で透明感があり、毛根まで透けて見えます。もし地肌が黄みや赤みを帯びているなら、それは紫外線ダメージや寝不足、疲労、ストレスが原因かもしれません。分け目が赤い場合も注意が必要です。
しかし、大人になるとカラーやパーマ、ヘアアイロンやドライヤーの熱ダメージなどで髪に負担がかかることが多くなります。適度な運動で体を鍛えることで心身の健康を維持するのと同様に、髪も頭皮も鍛え、底上げされた状態を維持することが重要です。

私たちが目にする髪の部分は「毛幹部」です。毛幹部のキューティクルが整い、内部の組織が充実していることも重要ですが、最も大切なのは「毛根部」です。毛根の一番奥にある毛球には、毛母細胞や髪の色を決めるメラニンをつくり出す「メラノサイト」が存在します。メラニンが多いほど髪は黒く、メラニンがつくられなくなると白髪になります。
髪の毛自体は死んだ細胞ですが、毛球にある毛母細胞が活発に分裂・増殖することで押し上げられるように成長します。そのスピードは1カ月に約1センチ。女性の場合、髪は4～6年もの時間をかけて成長します。これが毛髪の成長期です。この時期に、頭皮の毛細血管から毛根へ栄養が運ばれ、毛母細胞の活動を支えます。毛細血管の血行が悪くなると、成長期の途中でも髪はうまく育ちません。
成長期が終わると、毛乳頭の活動が弱まり、毛球部は萎縮します。2～3週間かけて少しずつ小さくなり、毛乳頭は活動を休止します。数カ月後、再び毛乳頭が活動を始め、新しい髪がつくられます。古い髪は押し上げられて自然に抜け落ちます。1日に抜ける髪の本数は通常50～100本ですが、200本以上抜ける場合は過度なストレスや頭皮トラブルの疑いがあります。このヘアサイクルが順調に循環し、毛母細胞に十分な栄養が送られることが美しい髪を育てる条件です。
良い土壌でみずみずしい作物が育つように、柔らかく弾力があり、栄養が行き渡ること、過剰な皮脂や汚れがないことが健康な頭皮の環境を作り出します。そして、その環境が生まれてくる髪の質を決定するのです。

髪に良い栄養を届けるためには、まず不要なものを取り除くことが必要です。特に頭皮の汚れや毛穴の詰まりを解消することが大切です。普段の生活の中で、頭皮には汗や皮脂、ホコリ、ワックスやスプレーなどのスタイリング剤が付着します。これらの汚れが毛穴に詰まると、炎症を引き起こし、赤みやかゆみ、フケ、頭皮の臭い、抜け毛などの原因になります。通常、1つの毛穴から2～3本の髪が生えていますが、毛穴が詰まると髪が細くなり、生える本数も減少し、薄毛の原因となります。
頻繁にヘアトリートメントを行う人も多いですが、過剰なケアは注意が必要です。見た目は一時的に良くなりますが、過剰な油分は髪を重くします。毎日のシャンプーは、汚れを落とし、髪が育つベースを整えるために重要です。また、3カ月から半年に1回のペースで、炭酸クレンジングなどのスペシャルケアを取り入れるのもおすすめです。汚れや不純物を一掃することで、栄養が行き渡りやすくなります。
漢方的な視点から見ると、呼吸も重要なポイントです。吸気は「清気」とされ、体に取り込まれた清らかな気が血となります。反対に、吐く息は「邪気」とされ、体に溜まった汚れた気を外に出すことが大切です。呼吸は単に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するだけではなく、体全体の巡りを促し、自律神経や内臓の働きに影響を与えます。
現代人は忙しさやストレスから呼吸が浅くなりがちです。無意識に体が硬くなり、緊張し、呼吸を忘れてしまうこともあります。これでは体に邪気を溜め込み、全身の不調を招く原因となります。髪は血余であり、全身の巡りが良くなければ、髪にまで栄養が行き渡りません。
朝起きたときや集中して仕事をした後、疲れを感じたときなど、1日に何度でも深呼吸をしましょう。全身の息を吐き切り、新しい清らかな気をたっぷり吸い込むことが大切です。呼吸は髪にまで栄養を巡らせる基本中の基本です。

毎日頭皮に触れていると、「むくんでいるときは頭皮がブヨブヨしている」「パソコンやスマホで目が疲れているときは、頭皮が硬く張っている」などの変化に気づくことがあります。顔と頭皮はつながっているため、こうした変化は見逃せません。
頭皮がブヨブヨしている、まぶたが腫れぼったいなど、むくみを感じたときにはセルフケアで余分な水分を流しましょう。むくみは水の代謝が悪いことの表れで、このとき体にたまっているのは澄んだ水ではなく、老廃物がたまったドロドロとした水です。これが栄養の巡りを妨げてしまいます。
むくみ解消には、リンパの流れを促すマッサージが効果的です。リンパ管は皮膚のすぐ下にあり、軽くさするだけで十分に効果があります。指の腹や手のひら全体を使って、軽く圧をかけながら流しましょう。顔の場合は、頬から上は耳の横へ、頬から下はフェイスラインへ流すと覚えやすいです。そしてフェイスラインから耳、鎖骨下へと流し、リンパの流れに乗せて余分な水分を流していきます。お風呂上がりにスキンケアをしながら行えば、滑りもよく肌を傷める心配もありません。
体を洗うときやお風呂上がりにタオルで体を拭くときも、このマッサージのチャンスです。首から上は鎖骨へ、鎖骨からおへそまでは脇の下へ、おへそから下は鼠径部へ流す、と覚えやすいです。ボディタオルを動かす方向やタオルでさする向きをリンパの流れに合わせるだけで、デトックス効果が期待できます。
水代謝の良い体になると、髪が成長し生え変わるまでのヘアサイクルや肌のターンオーバーが整うだけでなく、くすみの改善にもつながります。血流が良くなることで、これから育つ髪にしっかりと栄養が届き、しなやかで強い髪を育てることができるのです。

髪の健康を保つためには、全身の血行を良くすることが不可欠です。頭皮や髪だけに注目しても、体全体の健康が伴わなければ、本当の効果は得られません。
日常的に続けられる簡単なエクササイズを取り入れることで、髪の土台である体全体の健康を整えましょう。これによって、髪だけでなく体全体の調子も良くなることを実感できるでしょう。
東洋医学では、血液と共に「気」が体内を巡っていると考えられています。気は軽く、上に溜まりやすい性質を持っており、偏りが生じると血流が悪くなることがあります。特に、仕事や家事に追われていると、頭に血が集中しやすくなり、顔がほてり、手足が冷えることがあります。これを「上実下虚」と呼びます。忙しい日常やストレスから呼吸が浅くなり、交感神経が優位になると、この状態に陥りやすいです。
交感神経と副交感神経のバランスを整え、気と血の巡りを良くするためには、簡単なエクササイズや深呼吸を意識することが重要です。例えば、軽いストレッチやウォーキング、深呼吸を取り入れることで、気と血の巡りが良くなり、髪にも良い影響がもたらされます。
健康な髪を育てるためには、全身の健康が欠かせません。日常生活の中で取り入れられる小さな習慣を大切にし、体全体のバランスを整えることを心がけましょう。

東洋医学では、人間の体は「気」「血」「水」の3つの要素で構成されていると考えられています。これらの要素が流れる道筋が「経絡」で、全身に張り巡らされ、各臓器とつながっています。そして、経絡の浅い部分にあるのが「ツボ」です。
頭皮が硬くなっていると血行が悪くなり、髪の健康にも影響します。ツボを刺激するマッサージを取り入れ、血行を改善しましょう。げんこつで頭のツボをぐいぐいと押すと、ゴリゴリとした感触があります。そのゴリゴリこそが、体内に溜まった毒素です。イタ気持ちいい程度の強さでほぐしていくと、マッサージ後には頭が軽くなり、目もすっきりするはずです。
ピンポイントでツボを押したいときには、TILLETのEMSモードを使うと効果的です。微弱電流で地肌を刺激することで、非常に心地よく感じられます。また、シャンプーやトリートメントの際には、頭皮を動かすように洗うことを意識しましょう。顔と頭皮は一枚の皮でつながっているため、ふわふわ地肌は美肌の土台にもなり、くすみやクマ、たるみの改善にも効果的です。日常的に頭皮をほぐす習慣をつけましょう。

美しい髪を手に入れるためには、頭皮の健康と全身の調和が欠かせません。本記事では、健康な髪を育てるための基本知識から、むくみ解消や気と血の巡りを良くする方法、ふわふわ地肌を作るための頭皮マッサージまで、さまざまなケア方法を紹介しました。
日常生活に取り入れやすいこれらの方法を実践することで、髪と体のバランスを整え、内側から輝く美しさを目指しましょう。継続的なケアが、あなたの髪と全身の健康を支える鍵となります。